2015年1月アーカイブ

さて、前回までvol.1で「酸化酵素」、vol.2で「蒸し」と「蒸気」、で蒸し製緑茶の製法について話を進めて参りました。

 

今回vol.3では、製造時のもう一方の主役原料である「生葉」について考えてみましょう。話の進行上様々な話に飛びますが、あくまでも生葉を中心に考えていきます。

DSC07395-足久保岩崎蒼風.jpg

 

生葉とは文字通りお茶の生葉で、お茶を製造する際の原料となるものです。

葉桐本社のある安倍川筋の通称“本山地区”では、前年の二番茶後から整枝や施肥などの管理が始まり、夏から秋にかけて翌年の新茶を芽吹く「親葉」の葉層を育てていきます。まさに酷暑の中の作業で大変な作業です。

 

しかしながら、この夏から秋への管理作業の差が

翌年の一番茶に大きく影響をします。

いわばこのお盆までに何をしたかの差が、

来年の一番茶に出る、ということです。

 

00164.jpg

 

優秀な生産家さんたちは暑さもなんのその、

せっせと管理作業を進めています。

どんな施肥や管理作業が良いのかについては、

長くなりますので日を改めます。

 

 

さて、こうして丹精した茶園では優秀な新芽が育ちます。

またそうでない茶園でもそれなりの新芽が育ちます。

 

これがきゅうりや大根なら、

ここで「勝負あった」ノーサイドになります。

丹精組は98点、そうでない組は62点としましょう。

36点差で丹精組の「勝ち!」です。

 

この点差を活用して後程、お茶品質についての話をします。

良く覚えておいてください。

08626.jpg

 

また、この点数は其々の生葉が

「持っているもの」と考える事ができます。

そしてこの点数は摘採直後の物で、茶の樹から摘採され、

地面から離れてしまった後は決して増えることのない、

減点への一方通行になることをご承知おきください。

 

 

しかしながらお茶では、この段階では

お茶を作るための原料「生葉」でしかありません。

ここから「蒸し製緑茶」への製造が開始され、

その先で市場やお客様に評価されるので、

試合は始まったばかり、

サッカーで例えたならば「前半10分過ぎ」くらいでしょうか?

 

では、原料としてどんな生葉が優秀なのかを考えてみます。

これはただ単に農産物として考えるのでは片手落ち、

あくまでも原料としての視点が重要になります。

 

いくつか項目がありますので箇条書きにしてみます。

写真:茶園伸びた新芽

1、畑で芽の生育が揃っている事

2、目指す製品(荒茶)に適した摘採がなされている事

3、摘採後の生葉の鮮度管理が、茶園及び工場で万全である事

4、摘採後、製造にかけるまでの時間が長くならない事

 

09624.jpg

と主なものを上げてみました。

 

これをご覧になってお分りだと思います。

年間の栽培管理して原料となる生葉を摘採する「2」のところから、

「製造」が始まっています。

当然3も4も製造の初期工程で有ります。

すでに生葉は「農産物」ではなく、「製茶原料」であるわけです。

09724.jpg

今までは意識の高い工場でも、

製造は工場で生葉を受け取ったところからだと考えていました。

最近になって大きな共同工場などでは、

摘採時期や摘採の仕方について

工場側から要望を出すようになってきました。

とても良い傾向だと思います。

 

さて、2、3,4が製造工程であることは

ご理解いただけましたでしょうか?

 

この後、お茶の本格的な製造が始まります。

先程の二つのお茶の点差が、どうなっていくのか。

5205.jpg

 

今回は、ここまで。次号「Vol.4製造技術の差」に続くです。

こんにちは。

静岡 山奥のお茶屋 葉桐 です。

前回静岡茶の製造方法vol.1では、お茶の葉が持つ「酸化酵素」についてお話しました。

本日のvol.2では、いよいよ蒸し製緑茶について考えるために、「蒸気」のことを追及しながら、話をすすめます。

2041.jpg

実際の製造現場では、蒸気の温度だけでなく蒸気の流量、その圧力や原料である生葉流量、生葉の質、製造環境の気温や湿度、さらに風力、風向きなど様々な要素が複合して影響し合うので下記のような単純な理屈通りにはならない事を承知の上でお読みください。

 

まずは、「蒸気」について考えてみます。蒸し製緑茶では、生葉を摘採した直後に「蒸気」を使って、生葉が持っている酸化酵素を100%失活させます。このことにより「緑茶」は紅茶や烏龍茶ではなく「緑茶」になります。いわば『生葉が持つ酸化酵素を100%失活させることが、緑茶製法の「絶対条件」』と言うことが出来ます。

勿論、摘採直後から酸化酵素はその活動をはじめますので、ここで言う「100%」とは、「製造の蒸し工程に入る時に残っている酸化酵素全部」の意味となります。

0256.jpg

実はここ「残っている酸化酵素」も製造した緑茶品質や、その香味を決定づける重要なファクターなのでしっかり説明したいのですが、ここで広げてしまうと「蒸し製緑茶製法」の話に戻れなくなってしまいますので、これはまた後日ということにします。

1940.jpg

 

蒸気を使って「蒸す」ことで酸化酵素を失活させているお茶を指して、「蒸し製緑茶」と呼んでいるわけですから、この状態の緑茶は酸化酵素が100%失活していることになります。このことを良く覚えておいてください。

 

では蒸し製緑茶製法で行っている「蒸す」とはどんな作業なのでしょうか?

 

簡単に言うと、「蒸気が持つ熱量を利用して、生葉が持つ酸化酵素を失活させる作業」であると言えます。

1948.jpg

この場合の蒸気が持つ熱量とは蒸気1gあたり約540カロリーある潜熱を指しています。

つまり、蒸し製緑茶の「蒸し」は、形も質量もある原料(生葉)の中に散在している酸化酵素を「100%」失活させるために、この潜熱を利用して行われる作業です。

潜熱が利用される理由は、「100℃の蒸気1gが100℃の水(熱湯)1gになる瞬間にだけ、540カロリーの熱量を、原料である生葉に渡すことが出来る能力をもつから」です。

100℃の水(熱湯)が99℃の水(熱湯)になるときは僅か1カロリー、101℃の蒸気が100℃の蒸気に変わるときは約0.5カロリーの能力しかないことを考えると、100℃蒸気→100℃水(熱湯)のパフォーマンスは特筆すべきなのです。

0258.jpg

 

このスーパーパフォーマンス潜熱を持った100℃の蒸気が生葉に出会った瞬間に、「水」(100℃の湯)に戻り1gあたり約540カロリーの熱量を生葉に渡すことで蒸し製緑茶製法で理想とする、「均一な蒸し」がなされるのです。

 

この「蒸し」に関する理論が蒸し製緑茶製造の核心なので、くどくなりました。

 

 

ここまでの話でお分りかとは思いますが、「蒸し」た状態の蒸された生葉は、「100%」酵素失活しているわけです。

それ以下では緑茶にはならないので茶業者が無責任に使う「浅蒸し茶」(葉桐でも使ってしまいます)は蒸し製緑茶には有り得ない事にお気づきだと思います。

0284.jpg

また、「100%」酵素失活させた生葉をさらに蒸して「深蒸し茶」と言っていますがこれも製法を表す言葉ではなく、ステーキの焼き方で言うところの「ウエルダン」に近いものと思っていただけたら、理解しやすいと思います。

 

 

5205.jpg

 

以上「蒸し」と「蒸気」についてでした。次回は、生葉について考えてみたいと思います。

では、またお目にかかりましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年7月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

このアーカイブについて

このページには、2015年1月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2014年12月です。

次のアーカイブは2015年2月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。