2014年12月アーカイブ

こんにちは。

今日は、お茶の葉を「廻して」見てみます。

よれるだけよってみました。

お茶の葉の精緻な作りをじっくりと観察していただけます。

http://youtu.be/y5c8fMSrYl4

しっかり撚り込まれ、表面が鈍く光っている様は、なんだかお茶の葉ではないみたいですね。

経験を積まれた、生産家の技術が成せる技です。

1分弱の動画です。では、ご覧ください。

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静岡のお茶屋 葉桐でした。

今回は、日本茶「蒸し製緑茶製法」についてお話をしていきます。
かなり長い話なので次のように4部作に分けて解り易く、簡単に書いてみたいと思います。

Vol.1 酸化酵素について ---今回

Vol.2 「蒸し」と「蒸気」について

Vol.3 原料である生葉について

Vol.4 製法、製造技術について

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さて、第1部では、緑茶の製造に大きく関わる酵素について理解を深めます。この酵素がわかると、緑茶だけでなく、発酵茶の紅茶や烏龍茶などの半発酵茶についても、理解が深まります。

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まずは、お話を進める上での前提条件を設定します。

私こと静岡のお茶屋 葉桐は、抹茶を扱うことが少ない静岡のお茶屋なので、ここでは一般的な煎茶(深蒸し煎茶を含む)や玉露等の蒸した後、揉みながら乾かして作るお茶に関してのお話をしていきます。

また、蒸し製緑茶の話をご理解していただくために、お茶の葉が持つ「酸化酵素」についてお話をします。この「酸化酵素」についての理解が抜けてしまうと、蒸し製緑茶製法の話が見えにくくなりますので、しばしお付き合いください。

それでは始めます。緑茶の原料であるお茶の生葉(新芽を摘採したもの)には、「酸化酵素」が存在しています。この酸化酵素は文字通り、お茶の葉を「酸化」させる働きをします。この酵素が働くとお茶は発酵(本当は酸化しているのですが、なぜか茶業界では昔から発酵と言われている)し始めます。

ところで、日本の緑茶は、生葉をすぐに加熱して酸化酵素の働きを止める、「不発酵茶」です。

この発酵を最後までさせるとお茶は「紅茶」になり、途中で止めると止めたときの発酵の進み具合などにより、「包種茶」「烏龍茶」「鉄観音茶」等の半発酵茶になります。これらの半発酵茶の場合、途中で酸化酵素の働き(発酵)を止める手段として、多くの場合「釜炒り」の熱によって残った酸化酵素の働きを失活させています。

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≪写真はGABA茶(ギャバロン茶)、嫌気処理後に「釜炒り」で酸化酵素を失活させています≫

 

一方、これから話を進めて行く「蒸し製緑茶」では、酸化酵素が仕事をする前に、生葉を「蒸気で蒸す」事でその酸化酵素の働きを止めます。

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蒸し製緑茶の製法では、原料となる「生葉」と、その生葉の酸化酵素を失活させる「蒸気」が主役となります。

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…今回vol.1はここまで。次回は、「蒸気」について考えたいと思います。

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静岡のお茶屋 葉桐でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

静岡のお茶屋 葉桐 お茶の見方「五感は全て香味鑑定のために」vol.2

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こんにちは。前回までに「拝見に使う道具」や「拝見の仕方」、「五感は全て香味鑑定のために(良い印象)」と書き進めてきました。

今日はその 「五感は全て香味鑑定のために」vol.2 として、拝見時見本茶に対して「あまり良くない印象」を持ったときの一例を、前回と同じような文章で書いてみます。

繰り返しではないかと感じたらご容赦ください。「拝見」とは、まさにこの繰り返しなのです。

 

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では、

前回も申し上げましたが、五感とは視覚、触覚、嗅覚、味覚、聴覚の五つを指しています。このうち嗅覚、味覚が「香味の鑑定」に使われるのは、そのとおり皆さんにもご納得だと思います。

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では残りの三感はどうなのか?  最も情報量の多い視覚からお話しを進めてみます。

 

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視覚は文字通り目で見た情報、色とか形とか大きさとかを感じる感覚器官です。お茶の拝見でも、離れたところから遠目に見た「色」や「艶」、手元では「形状」を含めながらさらに「色」「艶」を見てみます。

ここまでは多少感じ方が違ったとしても、誰が見てもほぼ同じように見えているはずです。でもお茶屋は、ここまでで拝見の約85%を終了しています。目で見て集めた情報を瞬時に分析し、そのお茶の製造過程を知るのです。製造時に何をしたのか、しなかったのか?はたまた何がおきたのか。製法由来の「香味」の特性をこの時点で連想しているのです。

 

例えば色たくにやや冴えが無く、製茶の形状に「曲り」が認められる場合は、製造工程のどこかで「上乾き」が起きた(正確には上乾きをさせてしまった)お茶であると判断。結果「茶葉に水を残した」お茶であり、香味に「ムレ」があり、水色もやや濁りがちでやや赤味がさす色だろうと予測、この時点で仕入れ対象から外れるので、緊張感が一瞬解けます。

ここで注意したいのは「残した水」とは、水分計で測ることのできる「水分」とは別物、専門用語で言うところの「芯水」のことなので、いわゆる「湿気た状態」とは違います。

 

 

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二つ目は触覚です。触覚は手などで触れたものの風合い、堅いとか柔らかいとか、すべすべしている、ざらざらしている、重い、軽い、思ったより重いとか、細かいとか大きいとか、を感じる感覚器官です。お茶の拝見でも「手触り」でお茶を鑑定しています。触覚からの情報は、先ほど申し上げた「視覚」からの情報と併せて複合的に分析しています。

ここまでは多少感じ方が違ったとしても、誰が触ってもほぼ同じです。でもお茶屋は見本茶との僅かな時間の手触りから、そのお茶が製造過程で何をされてきたのかを察知し、その製法由来の「香味」の特性に結びつけています。

ちなみに私の場合左手の方が敏感な様で、右手では気づかない情報も、左手では感じ取ることができます。例えば、見た目の色や形状には問題がないお茶でも、触れた時に良く乾燥していて、がっちりとした手触りで、上から掴むと手のひらよりも大きく握れてしまうような感触のお茶は、製造工程のどこかで「上渇き」が起きた(正確には上乾きをさせてしまった)お茶であると判断。その結果、「茶葉に水を残した」お茶であり、香味に「ムレ」があるだろうと予測します。やはりこの時点で仕入れ対象から外します。

ここで注意したいのは先ほどと同じく「残した水」とは、水分計で測ることのできる「水分」ではなく「芯水」のことです。

 

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残るは、聴覚です。

これは触覚との合わせ技での活用です。見本茶を握ったり戻したりする際のお茶とお茶が擦れるかすかな音から、生産家さんのお茶作りに対する「考え方」やその「技量」を推量します。

そして、その製造法由来の「香味」の特性と結び付け、品質鑑定しています。例えば「がさがさ」と聞こえれば、「蒸し製緑茶」の製造方法を忠実に再現出来なかったお茶で、製造中「上渇き」をさせてしまったお茶であると判断。「揉んで乾かし、揉んで乾かし」がどこかで「揉んで乾かし乾かし、揉んで乾かし乾かし」になってしまい、結果茶葉に水を残し、香味に「ムレ」があるだろうと予測します。この微妙な差を一瞬にして見抜いています。

 

お茶屋の拝見、仕入れではこれらのことを瞬間に官能、品質や仕入れ対象としての如何を判断した上で、その確認作業として湯を注し嗅覚味覚を拝見するのです。拝見に使う道具から4回にわたって書いてきましたが、拝見とは視覚、触覚、聴覚をもってほぼ完了、味覚、嗅覚は追従のための実証実験をやっている、と言うことができます。

 

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以上、五感についてvol.2でした。

こんにちは。

これまで、私のブログでは「拝見に使う道具」および「拝見の仕方」で、お茶屋が品質鑑定をする際に行っている「拝見」について簡単に書いてきました。

今日は、その「拝見」をしているときに自分の感覚、五感をどのように使っているかについて、まとめてみました。禅問答のような内容になってしまいますが、静岡のお茶屋の神髄、仕入れに携わるお茶師の技の一端を披露させていただきます。

題目は、お茶の見方「五感は全て香味鑑定のために」です。それでは、しばしお付き合いください。

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ヒトの五感とは視覚、触覚、嗅覚、味覚、聴覚、この五つを指しています。

このうち嗅覚、味覚が「茶の香味鑑定」に使われるのは、鼻で香りを嗅ぎ口で味わうのだから、当然のこととしてご理解いただけることと思います。

では、視覚、触覚、聴覚についてはどうでしょうか?

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視覚から考えてみましょう。文字通り目で見た情報、色や形、大きさを感じる視覚、お茶の拝見でも「色」や「形状」を目で見て鑑定しています。ひとにより多少感じ方が違ったとしても、誰が見ても「お茶」ほぼ同じように見えています。

でも、ここでお茶屋の目は、見たお茶の色や形状から、そのお茶の製造過程を一瞬にして見抜いています。製造時に何をしたのか、逆にしなかったのか?はたまた何がおきたのかをその色艶、形状から読み取っています。製法由来の「香味」の特性を、見た目の形状や色、艶から連想しているのです。

たとえば艶(色たく)が非常に冴えているお茶は、その製造工程の全般にわたって「しとり」をもって揉まれたお茶であるため、「原料茶葉の良さを存分に引き出せたお茶」であり、香味良好だろうと判断します。

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では、触覚について考えてみます。手で触れたものの風合い、たとえばかたいとか柔らかいとか、すべすべしているざらざらしている、重い軽い、思ったより重いとか、細かいとか大きいとか、を感じるのが触覚です。

お茶の拝見する場合も、手触り(触覚)でお茶を鑑定しています。ひとにより多少感じ方が違ったとしても、誰が触ってもほぼ同じ、堅い物はかたく、小さなものは小さいと感じているはずです。

ここでもお茶屋の手、指先は、触ったお茶の手触りから、そのお茶が製造過程で何をされてきたのかを一瞬にして連想しています。そして、その製法由来の「香味」の特性を見抜いています。

例えば乾燥しているのに湿っているような手触りで、指の間をすべり落ちる感触のお茶は、

製造工程の全てで「しとり」をもって揉まれたお茶であると判断。結果、余分な熱や、風を食うことなく揉まれたお茶であり、香味良好だろうと連想します。

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最後、五番目は聴覚です。

聴覚については触覚や触覚との合わせ技で活用します。お茶を握ったり戻したりする際のお茶とお茶が擦れるかすかな音から、生産家のお茶作りに対する「考え方」やその「技量」を推量、その製法由来の「香味」の特性を見抜いています。同時に、同じ静岡県内でも、各産地間にある製法に対する考え方の、僅かな違いなどを勘案しながらの作業です。もちろん「一瞬」の作業です。たとえば「さらさら」と聞こえれば、「蒸し製緑茶」の製造方法を忠実に再現できる技量の持ち主が揉んだお茶で、製造中「しとり」をもって揉まれたお茶であると判断。結果「揉んで乾かし、揉んで乾かし」がしっかりされた、香味良好なお茶だろうと予測します。でも、多分本当は音など聞こえていないはずです。それでも聴覚を使っているのです。

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出合った見本についてこれらのことを瞬時に官能、各感覚器官からの各種情報を一瞬にして分析した上で、仕入れ対象になると判断した場合のみ湯を注します。嗅覚味覚で自分の視覚触覚聴覚での感触、判断、連想が正しかったことを確認し、仕入れていくのです。

 

 

以上、五感を使ったお茶の香味鑑定についてでした。

 

お察しのようにそれぞれの感覚に数十の感想があり、拝見による鑑定結果はそれらの組み合わせによるためとてもここに書ききれないものになります。

今回は視覚、触覚、聴覚で良い感触を得たケースを書いてみました。でも実際には、あまり良くない感触を覚えるケースも多く、「その場合はどうなんだ」との疑問が残ったことと思われます。次回は「良くない感触を覚えた」で書き直してみます。比べてお読みいただけると、雰囲気が伝わりやすいかもしれません。また生産家やお茶に携わる皆さんにとっては、大きなヒントになるかもしれませんね。

 

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本日は、お茶の見方「五感は全て香味鑑定のために」でした。

今日は、今までとちょっと視点を変えてお茶を楽しみたいと思います。

お茶を淹れているシーンを動画で撮影しました。グラスの中で茶葉が浮き沈みしながらふくらみ、開いて行く様子を早送りでご覧いただけます。

なかなかファニーな1分ほどの動画です、ご覧ください。

http://youtu.be/4q4-uVvcbXE
 

お茶屋の私も今まで気づきませんでしたが、お茶っ葉って健気でかわいいですね。

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